後藤内科医院、リウマチ科、内科

関節リウマチの寛解

関節リウマチの寛解

関節リウマチの治療は数十年前と比べ進歩し、症状や病気の進行を十分に抑えることができるようになりましたが、未だに完治(治癒)に至ることはありません。一生付き合っていかなければならない病気です。ただし、完治に至らなくても、普通の人とほぼ同じような生活ができるレベルまで病気の状態をよくすること(これを寛解と呼びます)が可能です。寛解には臨床的寛解(関節症状・所見が消失し、検査所見も改善している状態)、構造的寛解(関節X線検査で骨びらんや関節裂隙狭小化などの関節破壊所見が進行していない状態)、機能的寛解(日常生活が問題なく行える状態)にわけられます。

 

臨床的寛解

臨床的寛解が最初に提唱されたのは1981年で米国リウマチ学会(American College of Rheumatology, ACR) (表1)から発表されました。

その後(1996年)、ヨーロッパを中心に使われるようになったのがDAS28(表2)を測定することによって算定する寛解基準でした。DAS28には2つの算定方式があり、赤沈値を採用するDAS28ESRと、CRP値を採用するDAS28CRPがあります。当院が開院した2005年にエンブレルやヒュミラが使用可能となり、メーカーからDAS28計算機をいただき現在も使用しています。


2005年にはSDAIおよびCDAIが提唱されました。SDAIでは赤沈値が除かれており、CDAIでは赤沈値、CRP値ともに除かれていて、血液検査なしで寛解基準を算定できるようになりました。


2010年に欧州リウマチ学会(European League against Rheumatic Diseases, EULAR)を中心に「目標達成に向けた治療」(Treat to Target,T2T)という寛解を目標とする治療勧奨(リコメンデーション、現在は2025年版が利用できます)がまとめられ、ACRとEULAR共同で目標とすべき寛解基準が定められました。これらは治療研究における基準(表5)および日常臨床における基準(表6)から構成されています。

DAS28、SDAI、CDAIには計算式がありますが、Boole式判定には計算が必要なく、下記のすべての項目が1以下である状態をBoolean(ブーレアン)寛解とします。Boolean寛解は、DAS28、SDAI、CDAIよりも厳しい寛解基準です。

 

Boolean寛解

圧痛関節数  1ヵ所以下
腫脹関節数 1ヵ所以下
患者疾患活動性全般評価(VASで0~10cm) 1cm以下
CRP 1mg/dl以下

 

構造的寛解

構造的寛解は関節X線における骨・軟骨変化をスコア化した総Sharpスコア(TSS)で評価されます。総Sharpスコアは1971年John Sharpが手・手指関節の27関節を対象として、骨びらん、関節裂隙狭小化の有無を点数化したものです。1989年にD. van der Heijdeは手の関節(びらん16関節、関節裂隙狭小化15関節)、足の関節(びらん・関節裂隙狭小化とも6関節)を対象にした方法を発表し、総Sharpスコア変法(mTSS)として現在広く使用されています(図1)。mTSSの評価には同一症例のレントゲン像を2人以上のリウマチ専門医が評価する必要があります。mTSSの年間増加スコア(△ mTSS)が0.5以下の時、構造的寛解と判定します。

 

機能的寛解

日常生活動作に関する質問票を用いて患者自身に評価してもらいます。20項目からなるHAQ(Health Assessment Questionnaire)法がありますが、さらにより簡易なもの(8項目)にしたHAQ変法(mHAQ)が用いられることも多いです(表8)。HAQ法でもmHAQ法でも0.5以下で機能的寛解とみなします。

 

ACR・コア・セット

 ACRが作成した評価基準です。日本でも、薬の有効性を評価する基準に広く使われています。
① 疼痛関節数
② 腫脹関節数
③ 患者による疼痛の評価( Visual analogue scale )
④ 患者による全般的活動性の評価( Visual analogue scale )
⑤ 医師による全般的活動性の評価( Visual analogue scale )
⑥ 患者による運動機能の評価?(MHAQ)
⑦ 血沈、CRPの値
⑧ レントゲン所見
の8項目でリウマチの活動性の評価を行います。
①と②の項目で20%以上の改善があり、③~⑦のうち、3項目で20%以上の改善が認められる場合、「ACR基準20%の改善あり(ACR20)」 と判定されます。
ACR20:効果あり、ACR50:患者さんが満足、ACR70:ほぼ寛解

 

文献

RA寛解の定義について。臨床リウマチ2011:23;344~348

 

<<2026年5月15日作成>>

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