心筋梗塞
痛みのない心筋梗塞 22-35%、特に女性は43%に胸痛なし
胸痛(Acute coronary syndrome:ACS)のPitfalls
<胸痛パターンで除外できるか>
圧迫感 LR 1.7
鋭い・刺すような痛み LR 0.41(部分的な痛みでもACSのことがある)
呼吸による変動 LR 0.22
体位による変動 LR 0.13
ニトログリセリンや制酸剤の効果→必ずしも当てにならない(食道病変による痛みもニトログリセリンで軽快する)
冷や汗 LR 4.6(冷や汗を認める2大疾患:ACS、低血糖)
両肩への放散痛 LR 7.1(手が挙がる、放散痛は左右ほぼ同程度に見られるが、右がやや多い)
Ann Emerg Med 45:581-585,2005
Emerg Med J 20:170-171, 2003
Emerg Med Clin North Am 23:937-957, 2005
Dr. 林の30cmの法則
心臓を中心として30cm以内の痛み(のど、肩、胸、胃、背中、歯)+冷や汗→ACSを除外せよ
急性心筋梗塞の6-52%は非典型(死亡率:非典型 19%、典型 6%)
嘔気・嘔吐
息切れ 58%(85歳以上で多い)
倦怠感 53%(足の脱力という症状で来院することもある)
放散痛
Chest 126:461-469, 2004
インフルエンザの流行期に急性心筋梗塞が7倍増加する
高齢者、女性、糖尿病患者は要注意:非典型例が多い
Unrecognized myocardial infarction. Ann Intern Med 135:801-811, 2001
Women’s early symptoms of acute myocardial infarction. Circulation 108:2619-2623, 2003
The Missed Acute Myocardial Infarction in the ED: Strategies to Reduce Risk Both the Patient and Physician. Emerg Med Reports 30:125-143, 2009
aVLのST低下(II, III, aVFのST上昇のミラーイメージ)を見逃すな
感度 87%、特異度 91%
その後、II, III, aVFのST上昇が見られることがある。
STEMI(ST-elevation myocardial infarction:ST上昇型心筋梗塞)の11%はfollw up ECGでみつかる。
15-30分置きに2時間までECGをとるべし!
Ann Noninvasive Electrocardiol 8:185-188, 2003
Am Heart J 165:50-56, 2013
Am J Emerg Med 32:785-788, 2014
II, III, aVFのST上昇→下壁梗塞
すぐにMONA(モルヒネ、酸素、ニトログリセリン、アスピリン)はダメ!
右冠動脈閉塞のため、下壁梗塞だけでなく、右室梗塞を合併している危険性あり(25-40%)
右室梗塞では静脈還流不全がおきるため、モルヒネ、ニトログリセリンを使うと、さらに静脈還流不全が悪化し、ショックを起こすこともある。
II, III, aVFのST上昇を見たら、V4R, V5Rの検査も追加せよ!
aVRの裏技
心筋梗塞患者において、1.5mm以上のST上昇を見たら、左前下行枝起始部の梗塞を疑え!
感度 78%、特異度 86%
死亡率 75%
J Am Coll Cardiol 38:1348–1354, 2001
Am J Cardiol 108:21–28, 2011
広範囲のST低下+aVRのST上昇=STEMI(ST-elevation myocardial infarction:ST上昇型心筋梗塞)
仮面ライダーの法則:STEMIにおいて、ST上昇がaVR>V1の場合、LMCA(Left main coronary artery)の閉塞を示す。
グリコの法則:STEMIにおいて、ST上昇がaVR+aVLともに見られる場合、LMCAの閉塞を示す。
心筋梗塞の場合、酸素多すぎはダメ
心筋障害の増加、心筋梗塞の再発、不整脈の誘発を招く!
SaO2 94-98%に酸素投与量を調節すべき
Cochrane Database Syst Rev 2016;12:CD007160
Crit Care Clin 30:765-783, 2014
Thorax 72 Suppl:i1-i90, 2017
Int J Nurs Stud 74:8-14, 2017
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