脊椎関節炎
脊椎関節炎に関する、以下の2講演を聴講してきました。印象に残ったコメントを記載します。
脊椎関節炎の病態 ~付着部炎を中心に~ 医療法人和泉会千代田病院 リウマチ科・整形外科 首藤 敏秀先生
IL-23は単独で付着部炎を起こしうる。IL-17阻害薬は付着部炎、指趾炎に有効である。
付着部炎は骨炎を伴うことがある
付着部は周囲に存在する組織、すなわち滑液包、軟骨、骨組織などとお互いに関連を持っており、ひとつの器官のように機能しているといわれている。また付着部周辺において腱と骨、さらに骨髄と付着部が連絡しているところもある。
脊椎関節炎では腸炎の合併が多い:脊椎関節炎、炎症性腸疾患の発症に腸内細菌叢が関与
腸内細菌のいない無菌状態では、HLA-B27トランスジェニックラットは関節炎・脊椎炎や腸炎、乾癬様皮疹を発症しないが、腸内細菌が存在すると、関節炎・脊椎炎や腸炎、乾癬様皮疹を発症することから、HLA-B27分子のみならず腸内細菌の存在がSpAの発症に重要である可能性が示唆されている。
PsAはRAとどのように違うのか? 順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科 田村直人先生
関節病変
乾癬性関節炎(Psoriatic arthritis:PsA):腱付着部炎から始まり関節滑膜に波及する。骨破壊と骨増殖の病変が両方見られる。
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA):関節滑膜で起こり骨・軟骨破壊へと進展する。骨破壊像が主。
病理と免疫系
PsA:好中球やマクロファージなど自然免疫系の細胞浸潤が目立つ。IL-23/IL-17経路がより強く働いている。
RA:樹状細胞や形質細胞など獲得免疫系の細胞浸潤を伴う滑膜肥厚がみられる。
薬剤の効果
PsA:IL-17、23阻害薬は有効だが、IL-6阻害薬は無効。PsAではRAに比べて生物学的抗リウマチ薬の有効中止が困難であるとされている。
RA:IL-6阻害薬は有効だが、IL-17阻害薬は無効。
GRAPPAの乾癬、PsAの治療推奨について Arthritis Rheum 2016;68:1060-1071
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