リウマチ科とは
リウマチ科というと関節や筋肉の痛みを扱っているので、整形外科の範疇ではないかと考えられる方も多いと思います。確かに関節痛・筋肉痛の患者さんが多いですが、皮膚科、眼科、耳鼻科、泌尿器科などのさまざまな科にまたがる疾患を対象としています。たとえば、皮膚の赤い発疹ができる全身性エリテマトーデス、皮膚が硬くなる強皮症、口や眼が乾燥するシェーグレン症候群、口内炎・外陰部潰瘍・眼の病気で発症するベーチェット病などです。原因のよくわからない不明熱なども対象となります。
リウマチや膠原病と聞くと「不治の病」というイメージを持たれる方も少なくないのではないでしょうか。最近では治療法が進歩したため、治す事はまだできませんが、普通の人と同じ程度の生活を送ることができる状態まで回復することが可能です。
2017年7月2日 エンブレル全国講演会2017より
日常診療での関節リウマチの鑑別疾患 岸本 暢將先生
聖路加国際大学聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center
関節リウマチとの鑑別が必要なさまざまな疾患についてポイントをおさえて解説していただきました。先生の書籍「すぐに使えるリウマチ・膠原病診療マニュアル」をあらかじめ読んでいたので(私が呼んだのは第1版ですが)、非常にわかりやすい内容でした。ポイントを以下に記載します。
痛風 | 50%が母趾のMTP関節で発症。痛風患者の90%は生涯1度は母趾のMTP関節が侵される。 |
手の変形性関節症 | 50歳以上の女性の66%、50歳以上の男性の50%がこの病気を持っている。 |
化膿性関節炎 | 死亡率が15%。 |
リウマチ性多発筋痛症 | 10%に手足のむくみあり。7%に悪性腫瘍の合併あり。 |
高齢発症関節リウマチ | 25%はリウマチ性多発筋痛症様に発症し、5%はRS3PE症候群様に発症する。 |
更年期の関節症状 | 乳癌のホルモン治療後でも同様の症状が生じる。手のPIP、MCP(第2,3)関節の腫れ、こわばりが見られる。一般に数ヶ月で改善する。 |
反応性関節炎 | 溶連菌感染2-3週後に関節炎が発症することがあるが、これはリウマチ熱ではなく、反応性関節炎である。 |
シェーグレン症候群 | カンジダによる口角炎が見られることがある。SSA抗体は抗細胞質抗体なので、抗核抗体検査では陰性と判定されることがありうる。 |
パルボウイルスB19感染症 | 成人では80%皮疹が見られない。腎症を合併することあり。 |