ステロイド骨粗鬆症について説明します。
ステロイド骨粗鬆症

ステロイド骨粗鬆症


ステロイド骨粗鬆症

ステロイド骨粗鬆症(岡田 洋右 先生)

 副腎皮質ステロイド(以下ステロイド)は、喘息、膠原病などさまざまな疾患で使用される薬剤であるが、必発といって良い副作用が骨粗鬆症である。
 ステロイドは破骨細胞成熟亢進、骨芽細胞のアポトーシスを誘導し、骨粗鬆症を来たす。
 プレドニゾロン大量投与後、わずか3-6ヶ月で、骨折リスクが高まる。

 プレドニゾロン投与量としては、20mg/日以上で、骨折リスクが急増するが、5mg以下でも安全ということはない(安全域がない)。
 骨質が低下する。
 重症例が多く、急速進行性である。
 ビスホスホネート製剤による骨折予防効果あり。
 閉経前の女性でも骨折が起きる。

ステロイド骨粗鬆症をいかに予防するか



 アメリカリウマチ学会(ACR)ステロイド骨粗鬆症診療ガイドライン

アレンドロネート(商品名:ボナロン

 対象:膠原病(関節リウマチは除く)に対し、ステロイド大量療法(平均投与量はプレドニゾロン 40mg程度)の投与を受けた患者(平均年齢34歳)
  症例数 効果 18ヶ月までの骨折例
アルファカルシドール単独投与群 24例 腰椎の骨密度が急速に低下した 4例
アルファカルシドールとアレンドロネート併用群 27例 急速な骨量低下が抑えられ、12カ月目以降、骨量が投与開始時を上回った 0例
 大量ステロイド投与時には、骨粗鬆症が発生してからではなく、ステロイド治療開始と同時にアルファカルシドールとアレンドロネートの予防投与を行うことが骨粗鬆症の進展阻止・骨折予防に重要である。

イバンドロン酸(商品名:ボンビバ

 ステロイド骨粗鬆症において、イバンドロン酸(商品名:ボンビバ)はアレンドロネートを比べ、遜色ない結果が得られたと、岡田先生は報告されていた。

デノスマブ(商品名:プラリア

 皮質骨の骨密度を上昇させるといわれているデノスマブ(商品名:プラリア)をアレンドロネートやリセドロネート(商品名:ベネット)と比べた場合、大腿骨や腰椎において、骨密度を上昇させる効果が高いと、岡田先生は報告されていた。

テリパラチド(商品名:フォルテオテリボン

 テリパラチドは高リスクのステロイド骨粗鬆症患者に使用すべきである。

抗スクレロチン抗体ロモソズマブ(商品名:イベニティ

 抗スクレロチン抗体ロモソズマブは強力な薬剤であるが、副作用のことも十分考慮し、限られた患者のみ使用すべきである。

薬をいつまで投与すべきか?

 ビスホスホネート製剤は3-5年で見直すべきで、骨密度が十分上昇していれば、中止可能と考える。デノスマブはいつまで投与すべきかに関しては十分なデータがない。

腎障害時での骨粗鬆症薬の選択

 eGFR 30程度でも、ビスホスホネート製剤をトライしても良いのではないかとコメントされていた(エビデンスはないが)。

骨粗鬆症薬の効果の経過観察について

 骨吸収マーカーだけ、測れば十分と思われる。血中25(OH)ビタミンD濃度が低い(20未満の場合)と、ビスホスホネート製剤の効果が減弱する。アルファカルシドールやエルデカルシトールを投与すべきである。
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