関節リウマチの検査について説明します。
関節リウマチの検査

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関節リウマチの検査

関節リウマチの検査

関節リウマチの検査には、関節リウマチを診断するために必要な検査、関節リウマチの薬を使用する前に必要な検査、治療方針決定のための検査、定期受診時に必要な検査に分けられます。血液検査、画像検査が主となります。関節リウマチで行われる画像検査として、単純X線検査、超音波検査、MRI検査があり、診断、病気の活動性、構造変化を評価するために行われます.

1)関節リウマチを診断するために必要な検査

初診時に、関節リウマチの分類基準に記載されている検査(リウマチ因子、抗CCP抗体など)、関節リウマチ以外のリウマチ性疾患を除外するための検査(抗核抗体、尿酸値など)、関節リウマチの合併症のチェックのための検査(肝機能検査、腎機能検査、貧血検査、胸部X線など)、関節リウマチの疾患活動性に関連する検査(CRP、血沈、MMP-3、関節X線、超音波検査【予約検査となる事があります】、MRI検査【基本的には予約検査となります】など)を行います。

1-1)リウマチ因子(本当の名称はリウマトイド因子、Rheumatoid Factor:RF)

基準値 15 IU/mL以下(当院と提携している検査会社メディックの基準値)


文献4】より

RFは関節リウマチで最もよく知られている自己抗体であり、1987年アメリカリウマチ学会や2010年アメリカ/欧州リウマチ学会分類基準などの主要な分類基準に含まれています。RFはIgGのFc領域を標的とする免疫グロブリン(自己抗体)として定義されています。RFにはさまざまなアイソタイプが検出できますが、その中で最も多く見られるのはIgMです。RFは、関節リウマチの発症の数年前に発生することがあります。RFレベルが臨床疾患活動とも相関しているかどうかは議論の余地があります。関節リウマチの初期段階ではRFレベルは臨床活動とは無関係に変動し、治療によるRFレベルの減少は必ずしも疾患活動性と関連しているわけではありません。とはいえ、抗リウマチ薬で効果的に治療された患者ではRFレベルの減少が見られることがよくあります。RFは数十年前から知られていますが、関節リウマチの病因におけるその役割はまだ明らかではありません。一説にはRFを含む免疫複合体は、TNF-αなどの炎症性サイトカインの産生を刺激して炎症を促進すると考えられています。最近発表された研究では、RFは溶液中の抗原に結合していないIgGには結合しないが、抗原に結合したIgGには結合することが示されています。

関節リウマチ患者のRF陽性率は約80%で、正常者でも1-5%程度陽性となります。また、RF陽性率は高齢者で増加します。RF陽性の人が関節リウマチになる確率について、2000年リウマチ専門誌で興味深い報告がありました。約14000人の人のうち、135人がRF陽性で、平均16.5年経過観察したところ、そのうち7人が関節リウマチを発症したという報告です。この結果でも明らかなように、RF陽性の人でも、リウマチにならない人の方が明らかに多いのです。ただし、関節の痛みだけでなく、腫れが出現した場合は、関節リウマチの可能性がありますので要注意です。定期的に主治医に受診してください。

関節リウマチ以外にも、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(顔の赤い発疹、蛋白尿、発熱などを主症状とする病気)などの膠原病、慢性肝疾患、慢性感染症等でも陽性となります。ただし、関節痛、口内炎、疲れやすい、発熱などの他の症状がある場合、関節リウマチを含めた膠原病の初期症状の可能性は否定できません。口内炎は唾液の分泌が低下するシェーグレン症候群でよく認められる症状です。シェーグレン症候群では、その他、関節痛・眼や皮膚乾燥症状などがみられます。また、紅斑・蛋白尿などが見られた場合、全身性エリテマトーデスの可能性があります。この病気でも、関節痛・口腔内潰瘍・全身倦怠感などが認められます。以上の病気が否定された場合、リウマチ因子陽性のみということになります。

1-2)抗CCP抗体(Anti-Citrullinated Protein Antibody:ACPA)

基準値 4.5 U/mL未満(当院と提携している検査会社メディックの基準値)


文献4】より

ACPAは、フィラグリンのシトルリン化部位を含むペプチドを環状構造とした抗原 (CCP:cyclic citrullinated peptide) を用いて検出される自己抗体として、Schellekensらによって報告されました。ACPAが関節リウマチに対する高い特異性と感度を有することや、関節リウマチ発症早期から陽性となり関節リウマチの早期診断に有用であることが、既に多くの報告で示されています。ACPAは、タンパク質またはペプチドのシトルリン残基を標的としています。シトルリン化は、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD2)との酵素反応によってアルギニン(アミノ酸の一種)がシトルリンに変換されることです。ACPAは、α-エノラーゼ、フィブリノーゲン、フィラグリン、ビメンチン、II 型コラーゲンなどの複数のシトルリン化抗原を認識することが知られています。ACPAはRFと同時に発生することが多く、関節リウマチ初期患者の約50%~60%、関節リウマチ既往患者の60%~90%にみられます。健康な人のうちACPA陽性となるのはわずか1%~3%で、そのほとんどが低レベルです。ACPAはRFよりも関節リウマチに対して特異性が高く(ACPAでは95%、RFでは85%)、RA の重要なバイオマーカーとなっています。そのため、ACPAは2010年アメリカ/欧州リウマチ学会分類基準に含まれています。



ACPAは関節リウマチの重症度と関連しており、ACPAの値が高い人では関節破壊の程度が激しく、心血管や肺などの関節外症状の発生とも関連しています。興味深いことに、ACPAは関節リウマチがない場合でも心血管死亡率と関連していることが示されています。RFと同じように、ACPAも関節リウマチ発症の何年も前に発見される可能性があります。喫煙は、関節リウマチ発症の危険因子です。喫煙はPAD2酵素の発現を高め、肺のシトルリン化レベルを高め、シトルリン化抗原に対する自己免疫を誘発すると考えられています。

ACPAは、関節腔内の骨細胞、軟骨細胞、免疫細胞と相互作用して炎症反応を引き起こす可能性があります。ACPAとシトルリン化タンパク質は免疫複合体を形成し、古典的経路を介して補体系を活性化します。さらに、免疫複合体は走化性因子C3aとC5aの放出を誘導します。補体の活性化、走化性因子の放出はいずれも、炎症反応に関連しています。ACPAは、直接的または間接的に骨破壊にも関与します。マクロファージは、免疫複合体の形成を通じてACPAによって活性化され、炎症誘発性サイトカインの産生を促進し、間接的に骨破壊を引き起こします。ACPAは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)とc-Jun N末端キナーゼ(JNK)経路を選択的に活性化し、NF-κBの活性化(直接骨破壊と関連する)とTNF-α産生(炎症性サイトカイン)の促進をもたらします。ACPAは破骨細胞を直接標的とすることもできます。ACPAとシトルリン化ペプチドによって形成される免疫複合体は破骨細胞を活性化して炎症性サイトカインの産生を促進します。関節リウマチ患者では、II型コラーゲンと相互作用するACPAは、関節軟骨の表面にある軟骨成分と直接結合することができます。ACPAはII型コラーゲンと交差反応し、補体を活性化することで関節炎や構造的損傷を引き起こし、プロテオグリカンレベルの低下と重度の関節炎を引き起こします。

1-3)CRP(C Reactive Protein)

基準値 0.3 mg/dL以下(当院と提携している検査会社メディックの基準値)

CRPとは、関節リウマチの炎症のマーカーで、肝臓で産生されます。体内に炎症や組織の損傷があるときに、血清中に増加するため、関節リウマチ以外でも、痛風、血管炎、肺炎などの細菌感染症、心筋梗塞、悪性腫瘍など幅広い疾患でCRPが高値となります。肺炎血球が持つC多糖体に反応することからC反応性タンパク(CRP)と命名されました。CRPは、体内に炎症が生じると2~3時間で急激に血中量が増加し、2-3日でピークに達します。

【CRP値と炎症の度合いの目安】
0.3以下 基準値の範囲内
0.4~0.9 軽い炎症
1.0~15.0 中程度の炎症
15.0以上 重度の炎症

1-4)赤血球沈降速度(赤沈、血沈、ESR:erythrocyte sedimentation rate)

基準値 男性 10以下、女性 15以下 mm/h(当院と提携している検査会社メディックの基準値)

赤沈棒に血液を入れ、血球成分が沈んでできた上清の量を検査します。CRPと同様に炎症のマーカーです。赤血球沈降速度は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ保険点数を算定できるものなので、総合病院や自院で赤血球沈降速度の検査のできる医院・クリニック以外では、検査されないことがほとんどです。当院でも検査していません。

1-5)MMP-3(Matrix metalloproteinase-3)

基準値 男性 36.9-121.0、女性 17.3-59.7 ng/ml(当院と提携している検査会社メディックの基準値)

MMP-3は関節リウマチにおける滑膜炎の程度を調べるマーカーです。MMP-3は生体内の細胞外マトリックスである、プロテオグリカン、フィブロネクチン、コラーゲンなどを分解し、その結果関節破壊をきたす酵素と考えられています。MMP-3は関節リウマチで滑膜の増殖に伴い滑膜表層細胞で発現・産生されることより、滑膜増殖の程度を反映するといわれています。血清中のMMP-3は、関節リウマチにおいて高率に高値を示しますが、変形性関節症、外傷性関節炎では高値を示しません。MMP-3レベルと疾患活動性/炎症マーカーの間に正の相関関係があります。ただし、MMP-3はステロイドの使用でも上昇してしまうため,滑膜炎の絶対的なマーカーとはいえません.



関節軟骨は、軟骨細胞と細胞外マトリックス(ECM)で構成され、2つの主要成分、II型コラーゲン原線維とアグリカンプロテオグリカンから構成されています。健康な軟骨の細胞外マトリックスは、コラーゲンとアグリカンの合成と分解のバランスが取れた動的平衡状態にあります。関節リウマチではこのバランスが崩れ、タンパク質分解が優先され、病的な軟骨破壊につながります。マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloproteinases:MMP)の研究では、関節リウマチの軟骨と滑膜組織でMMP発現が上昇していることが示されています。

MMPは、亜鉛結合活性側を持つカルシウム依存性エンドペプチダーゼのファミリーです。20種類以上のMMP が、分解する特定の基質に応じて分類されています。コラーゲナーゼ、ストロメリシン、ゼラチナーゼ、マトリリシン、膜型MMPなどです。さらに、MMPはキャリアタンパク質から成長因子を放出し、プロテイナーゼ阻害剤を不活性化し、関節破壊の原因となる炎症性サイトカインやケモカインに影響を与えます。人体では、MMPは白血球、マクロファージ、内皮細胞、および膝関節に見られる軟骨細胞や滑膜細胞などの結合組織細胞で合成されます。MMPは、プレプロ酵素として細胞外液に分泌され、そこで上皮成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、TNF-α、インターロイキン-1(IL-1)など、さまざまな物質によって活性化されます。関節リウマチではTNF-α、IL-1などによって活性化された滑膜線維芽細胞様細胞とマクロファージ様細胞が増殖を引き起こし、「パンヌス」と呼ばれる腫瘍のような構造物ができます。パンヌスは、軟骨-骨接合部で関節周囲骨に侵入し、軟骨および軟骨下骨組織の進行性の破壊を引き起こします。このパンヌスではプロテオグリカン、コラーゲンを分解するMMP、特に、MMP-1、-3、-9、-13の発現が上昇しています。

1-6)単純X線検査

単純X線検査は骨びらんや関節裂隙の狭小化など関節リウマチによる関節破壊を確認するのに有用な検査です。X線写真の利点には、低コスト、アクセス性(全身のどの部位でも撮影可能)、再現性が高いことが挙げられます。軟部組織や滑膜の炎症に関する情報は得られませんが、構造的な関節の損傷を検出することができます。この検査で関節リウマチに特徴的な骨破壊(びらん)が認められれば確定診断ができることができます。骨破壊の評価法も確立されています。この検査では疾患早期に骨びらんや関節裂隙の狭小化などの変化が指摘できることは少ないため、早期診断には不向きですが、骨関節の変化がないことを確認する事も重要なので、関節リウマチの初診時には必須の検査です。さらに偽痛風や変形性関節症、乾癬性関節炎などの脊椎関節炎との鑑別にも単純X線検査は有用です。



1-7)超音波検査

超音波検査は関節内の滑膜や滑液、腱、腱鞘、骨の変化を確認するのに有用な検査です。関節リウマチの早期診断や活動性の評価に非常に役立ちます。放射線曝露の心配もなく、手軽に行える点もこの検査の優れているところです。一方で検査結果の信頼度は検査を行う人の熟練度に依存すること、検査をする関節数が増えた場合に時間がかかること、再現性がやや低いこと、定量的な評価が難しいことは弱点といえます。さらに超音波検査で炎症が検出されたすべての患者が関節リウマチを発症するわけではないということです。関節液貯留、滑膜肥大、さらには低レベルのパワードップラー信号でさえ、健康な集団でよく見られます。臨床医が超音波検査で滑膜炎を発見した場合、免疫抑制剤の薬を始めたくなるかもしれませんが、それは患者を過剰治療になる可能性につながります。

Outcome Measures in Rheumatoid Arthritis Clinical Trials(OMERACT)という研究グループは、2005年に炎症性関節炎に対して超音波検査を使用して見られる病状の定義を以下のように提案しました(図1-5、表はいずれも文献8】より引用)。
【滑液】 異常な低エコーまたは無エコー(皮下脂肪と比較して)の関節内構造で、圧迫により滑液が消失しますが、ドップラー信号を示しません(図1aおよび1b))

 図 1. 関節リウマチ患者の第2MCP関節の無エコー浸出液(a)が、超音波検査プローブ(b)で皮膚に圧力が加えられると無エコー浸出液が消失します。*は滑液を示し、「mkp」は中手指節関節、「phalanks」は指骨を示します。
【滑膜肥大】 異常な低エコー性(皮下脂肪と比較して)の関節内構造で、圧迫してもその構造が変化せず、疾患活動性が高いとドップラー信号を示します(図2aおよび2b)。
 
図 2. 関節液は圧迫により消失しましたが(a)、滑膜組織は変位せず、低エコーの外観をしています(b)。*は滑液を示し、矢印は滑液肥大です。
【腱付着部炎】 異常な低エコー外観(正常な線維構造の喪失)、肥厚(石灰化と同じレベルの高エコーとなる場合があります)、皮質骨の喪失、腱または靭帯の骨接着領域での新しい骨形成などの骨の変化。ドップラー信号を出すことがあります。
 
図 3. 腱の肥厚とアキレス付着部位での低エコー性の出現、踵骨侵食と踵骨後領域に関与するドップラー信号の増加。*は踵骨の侵食を示しています。
【腱鞘炎】 腱の周囲の無エコー滑液の有無にかかわらず、腱の低エコーまたは無エコーの肥厚が認められます。これは疾患活動性と関連しており、ドップラー信号を示すことがあります(図4aおよび4b)。

図 4. 手関節レベルの関節リウマチ患者の超音波検査画像は、軸方向と縦方向で灰色 (a) またはドップラー信号(b)を伴う活動性(グレード 3)の腱鞘炎を示しています。*は滑液を示します。
【びらん】 骨表面の皮質の連続性の喪失が見られます。この皮質の不連続性は、軸方向と縦方向の両方の画像で示す必要があります(図5aおよび5b)。

図 5. 初期の関節リウマチ患者の第5MTP足関節のびらん。2つの平面(a:縦方向、b:横方向のスキャン)で皮質の連続性が欠如しています。矢印はびらんを示しています。説明文を入力

半定量的スコアリングシステムは、グレースケールとドップラースケールの両方で疾患の活動性を決定するためによく使用されます。滑膜炎と腱鞘炎は一般的に別々に分類されます。このシステムでは、0から 3ポイントの間で、正常、軽度、中等度、重度として定義されます。関節リウマチの最近の分類では、グレースケールとドップラースケールが組み合わされています(表)。

表. グレースケールとPDスケールの評価を組み合わせた超音波検査の半定量的スコアリング。


関節リウマチ患者に見られる浸出液、滑膜肥大、腱鞘炎、びらんは、超音波検査では疾患の初期段階で検出できます。2016年のEULAR早期関節炎ガイドラインでは、関節に関節炎が疑われる場合は、超音波検査で確認する必要があることを推奨しています。滑膜炎は、関節リウマチの最も基本的な所見です。X線で軟部組織のこれらの変化を評価することは不可能であるため、超音波検査は貴重な情報を提供できます。滑膜炎に関する初期の関節リウマチ研究では、超音波検査では感度が78%、特異度が79%であったのに対し、臨床検査では感度が58%、特異度が78%で、超音波検査は臨床検査よりも優れていることが示されました。多くの研究では、超音波検査によって検出された活性化は関節リウマチの疾患活動性と相関していました。ドップラー信号が陽性の患者では、再発のリスクが高いことがわかっています。超音波検査は、X線で見える前の早い段階でびらんを示すことができます。

1-8)磁気共鳴画像法(Magnetic resonance imaging:MRI)検査

MRIの主な利点の1つは、放射線を使用せずに、関節内、骨周囲の軟部組織の構造に関する高感度の詳細な情報を提供できることです。MRI検査は、リウマチ性疾患の早期診断だけでなく、治療反応や疾患の進行のモニタリングにも非常に有用です。MRI検査は、X線写真よりも数年早く軟骨の構造変化と骨破壊を示すことができます。一方で読影まで含めた検査結果を得るまでに時間がかかること、1回の検査で行える撮影部位が限られるため、複数の関節評価をするのには適さないこと、高価な検査であることは弱点と考えられます。





MRI検査では、骨髄浮腫、関節びらん、関節液貯留、滑膜炎(滑膜増殖)などの所見が検出されます。骨髄浮腫はびらんの前兆と考えられています。病気が進行するにつれて、関節の辺縁に生じたびらんは中央に広がり、軟骨と骨の破壊につながります。欧州リウマチ連盟 (EULAR)は早期関節リウマチか否かをスクリーニングする目的で、MRI検査が有用である事を強調しています。ただし、MRI検査に関する懸念の1つは、炎症を検出するための感度が高いため、過剰診断に津上がる可能性があることです。MRIは、関節リウマチの危険因子がない健康な無症状の人の炎症をよく検出します。大規模な研究では、193人の症状のない人の中手指節 (MCP)、手関節、中足趾節 (MTP) 関節の造影MRIを実施した所、患者の72%が少なくとも1つの炎症性特徴を持ち、78%が1つ以上のびらんを持っていました。炎症性の特徴とびらんは、特に高年齢層に多く見られました。





2)治療方針決定のための検査

関節リウマチと診断が確定した場合、第一選択となる薬(アンカードラッグ)はメトトレキサートです。疾患活動性が高い場合は生物学的製剤やJAK阻害剤が使用される事があります。これらの薬が安全に使用できるか否かを判断するために、合併症の有無に関する検査(肝腎機能検査、胸部X線、胸部CT検査等)、感染症の有無に関する検査(結核、B型肝炎、C型肝炎、肺真菌症等に関する検査)を行います。

3)定期受診時に必要な検査

血液検査としては、関節リウマチの疾患活動性をチェックする検査、副作用をチェックする検査を4-8週に1回のペースで行います。メトトレキサートの添付文書には4週に1回の血液検査が推奨されると記載されています。疾患活動性をチェックするためにCRP、赤血球沈降速度、MMP-3などの検査を行います。副作用チェックのため、末梢血(白血球数、貧血など)、肝腎機能検査等を行います。血液検査を確認する際には、正常値かどうかだけでなく、前回と比較しながら数値の変動の意味について検証することが大事です。炎症マーカーであるCRPや赤血球沈降速度は、関節リウマチの悪化以外に感染症を合併しても上昇するので、解釈には注意を要します。関節リウマチでは肺合併症を伴うことが多く、メトトレキサートなどの薬剤で間質性肺炎を起こす事もあるため、半年~1年に1回の頻度で胸部X線検査が必要です。関節の病変をチェックするためには、半年~1年に1回の頻度で関節のX線検査、超音波検査も行われます。

4)文献

1】メディカルスタッフ のためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド. 2021年12月1日発行 羊土社
2】Autoantibodies and B Cells: The ABC of rheumatoid arthritis pathophysiology. Immunological Reviews. 2020;294:148–163.
3】Autoantibodies in rheumatoid arthritis – rheumatoid factor, anticitrullinated protein antibodies and beyond. Curr Opin Rheumatol 2024;36:217–224
4】An overview of autoantibodies in rheumatoid arthritis. J Autoimmunity 2020;110:102392
5】Anti-citrullinated Protein Antibody Generation, Pathogenesis, Clinical Application, and Prospects. Front. Med. 2022;8:802934. doi: 10.3389/fmed.2021.802934
6】Matrix metalloproteinases in rheumatoid arthritis and osteoarthritis: a state of the art review. Reumatologia 2023;61:191–201
7】When and how should we use imaging in individuals at risk of rheumatoid arthritis? Front. Med. 2022;9:1058510. doi: 10.3389/fmed.2022.1058510
8】Musculoskeletal ultrasonography in rheumatic diseases. Turk J Med Sci. 2023;53:1537-1551. doi: 10.55730/1300-0144.5723. eCollection 2023
DOI: https://doi.org/10.5114/pjr.2022.113390
9】MRI and ultrasound in rheumatoid arthritis. Review Curr Opin Rheumatol. 2016;28:323-9. doi: 10.1097/BOR.0000000000000282.
10】Magnetic resonance imaging of rheumatological diseases. Pol J Radiol 2022;87:e93-e112

<2025年4月16日作成>
関節リウマチの検査

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