膠原病・関節リウマチと更年期について
膠原病・関節リウマチと更年期について
Rheum Dis Clin North Am. 2017; 43: 287-302.
全身性エリテマトーデス(SLE)
一般に閉経後、SLEの活動性が低下することが報告されていますが、因果関係はまだはっきりしません。閉経後発症のSLE患者は閉経前発症のSLE患者に比べ、紅斑、腎障害、白血球減少症、抗核抗体陽性の程度が軽いと報告されています。一方で、閉経後ホルモン補充療法(HRT)を受けた女性のSLEリスクが2倍に増加しているという報告もあります。
閉経後のSLE患者で注意すべき点は骨粗鬆症と動脈硬化です。SLE患者では、骨密度が低値でなくても、骨折リスクが一般の女性に比べ、高いことがわかっています。HRTおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)による治療は、閉経後SLE患者の骨密度を維持するのに有効です。
SLE患者において閉経が早くなる原因としては、シクロホスファミド療法、高いSLE疾患活動性が挙げられます。
関節リウマチ(RA)
閉経がRAに及ぼす影響について明確な結論が出ていません。閉経前にRAを発症した患者では、一般の女性に比べ、閉経年齢が若くなり、更年期症状も若年齢でおきやすいと報告されています。しかし、この若年齢化はMTX療法とは無関係であることを示唆されました。(Menopause. 2016, 23;1130-8)
強皮症
強皮症に伴う肺高血圧症の発症リスクが閉経により増大することが報告されています。原因はエストロゲン分泌低下により、血管内皮の損傷をもたらされるからと考えられています。