TNFα阻害剤:製剤間の効果の違い
現在、強直性脊椎炎に保険適応があるのは、インフリキシマブとアダリムマブのみですが、関節リウマチに使われるエタネルセプトやゴリムマブも強直性脊椎炎には有効です。2015年のCochrane Databaseの分析によれば、どのTNFα阻害剤を投与しても、効果に差はないという結果でした。
TNF-alpha inhibitors for ankylosing spondylitis (Review):Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 4. Art. No.: CD005468
TNFα阻害剤:効果の持続
インフリキシマブ(上図)、ゴリムマブで5年間、エタネルセプトでは7年間効果が持続することが報告されています。
Arthritis Research & Therapy 2011, 13(Suppl 1):S2
Arthritis Research & Therapy 2013, 15:R67
Ann Rheum Dis 2015;74:757-761
TNFα阻害剤:X線上の進行を遅らせる
The Impact of TNF-inhibitors on radiographic progression in Ankylosing Spondylitis:Arthritis Rheum. 2013 ; 65: 2645-2654.
TNFα阻害剤を早く投与すれば、するほどX線上の進行を遅らせることができると報告されています。
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TNFα阻害剤:肥満による効果減弱
Body mass index influences the response to infliximab in ankylosing spondylitis:Arthritis Research & Therapy 2012, 14:R115
この図は肥満(BMIが高い)のAS患者では、体重あたり同じ量(5mg/kgを6週間隔で投与)のインフリキマブを投与しても、インフリキシマブ効果が減弱することを表しています。これは、肥満により脂肪細胞が肥大化すると、脂肪細胞周囲からのTNFα分泌が増加するためと考えられます。肥大化した脂肪細胞から単球の遊走を引き起こすMCP-1(monocyte chemoattractant protein 1)が分泌されますが、MCP-1により毛細血管から外へ遊走した単球は活性化されてマクロファージとなり、脂肪細胞の周りに集まり、このマクロファージによりTNFαが分泌され、全身へ運ばれるわけです。
TNFα阻害剤:骨粗鬆症に対する効果
The effect of three years of TNF alpha blocking therapy on markers of bone turnover in patients with ankylosing spondylitis.:Arthritis Research & Therapy 2012, 14:R98
強直性脊椎炎では脊椎が硬く動かなくなりますが、骨自体はむしろ炎症により弱くなり、”骨粗鬆症”が起こってきます。TNFα阻害剤は強直性脊椎炎患者の骨密度を改善する効果があります。
強直性脊椎炎:その他の生物学的製剤
関節リウマチには有効なトシリズマブやアバタセプトは無効という結果が報告されています。
Ann Rheum Dis 2014;73:95-100.
F1000Prime Reports 2014, 6:78
血管炎や悪性リンパ腫に有効なRituximab(抗CD20抗体)や乾癬に有効なSecukinumab(抗IL-17A抗体)、Ustekinumab(抗IL-12/23抗体)などでは有効というデータが報告されています。
F1000Prime Reports 2014, 6:78