糖尿病の糖質制限食について
2018年2月22日(木)北里大学北里研究所病院 糖尿病センター長 山田 悟先生の講演会「糖質制限食の有効性とSGLT2阻害薬の意義」を聴いてきました。山田 悟先生は「糖質制限の真実」というベストセラーの著者です。印象に残ったコメントを記載します。
冒頭のコメントが印象的でした:「糖質制限食は口から入る糖質を控える治療法で、一方、SGLT2阻害薬は腎臓から糖質を排出させる治療法なので、両者は糖質を体の中から少なくするという点において同意義の治療法です。」
次に、今まで糖尿病の食事療法の常識とされていた「カロリー制限食」の問題点について解説されていました。この点については「糖質制限の真実」にも記載されていますが、「カロリー制限食に関する科学的根拠が乏しい」、「カロリーを計算しながら、食事をすることはかなり困難である」、「カロリー制限で骨密度が低下する(J Bone Miner Res 2016, 31, 40-51)」 カロリー制限食(○)では制限なし食(●)に比べ、2年間で有意に腰椎、大腿骨で骨密度が低下しています。等の問題点を列挙されていました。
質問に対するコメント1)果糖はブドウ糖に比べ、依存性があるので、摂取のし過ぎに要注意。砂糖はブドウ糖と果糖が結合したものなので、砂糖でも依存性あり。2)人工甘味料の依存の関しては科学的根拠がなく、問題はないのではないか。3)極端な糖質制限食は良くない。山田先生の推奨する糖質制限量は70~130g/日。4)ケトン体は糖質摂取量を50g/日以下にすると、血中に出てくる。5)筋肉量を維持するには、若年者では1食あたり15gの蛋白を摂取すればよいが、高齢者では1食あたり20g(肉、魚換算で100g)の蛋白が必要。