喘息について
2018年8月29日(水)NTT東日本関東病院 呼吸器センター長 放生 雅章 先生の講演「咳喘息に対する実践的治療の提案~SMART療法の有用性~」を拝聴してきました。印象の残ったコメントを掲載いたします。
気管支喘息の治療は、吸入ステロイド薬(ICS)を中心とした長期管理に関するエビデンスの集積により、大幅な進歩をとげ、気管支喘息の死亡者数は年々減少傾向にあります。
治療の目標である「健常人と変わらぬ生活を送ること」が可能となる患者が増えた半面、医師の説明不足や、患者の間違った思い込みから、両者の認識にギャップが生まれ、その結果としてよいコントロールが得られないことも時に経験します。たとえば、新規喘息患者の1年後の吸入継続率はわずか10%です。
喘息のフェノタイプ
好酸球性喘息(こちらのHPに詳しく記載されています)、アトピー性喘息、非好酸球性非アトピー性喘息に大きく分類されます。好酸球性喘息には抗IL-5抗体、抗IL-5受容体抗体が有効で、アトピー性喘息には抗IgE抗体が有効です。抗IL-5受容体抗体は抗IL-5抗体より、有効性が高いようです。好酸球の活性化にはIL-5以外のサイトカインも関与していますが、抗IL-5抗体ではIL-5のみを抑えるのに対し、抗IL-5受容体抗体ではADCCを介して、好酸球をほぼ0にしてしまうことができるためではないかと推測されています。非好酸球性非アトピー性喘息に対しては気管支サーモプラスティー(気管支鏡下で、気管内壁で肥厚した平滑筋を65℃で暖め気管支平滑筋を減少させる治療法)が選択肢として挙げられます。