IgG4関連疾患について:演者 札幌医科大学免疫リウマチ内科学 高橋裕樹先生
IgG4関連疾患(IgG4-related disease) は、血清中のIgG4値の上昇、病変部組織へのIgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を特徴とする多彩な臓器病変を伴う全身性疾患です。唾液腺・涙腺の病気であるミクリッツ病(Mikulicz’s disease)、自己免疫性膵炎が中心となる病態ですが、それ以外にも、胆管、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺などに病変が認められます。本疾患は、2001年に本邦のHamano、Kawaらが、自己免疫性膵炎において、血清IgG4の上昇を認めたと報告(N Engl J Med. 2001; 344: 732-8)したことに始まります。
臨床的特徴
1)全身性疾患で時間的・空間的多発性傾向が認められます。はじめは唾液腺・涙腺に限局していた症例が、その後(場合によっては数年後)、膵炎、後腹膜線維症など全身性の病変を合併することがあります。2)腫大、腫瘤、壁肥厚などの画像所見が認められます。3)血清lgG4値上昇(135mg/dl以上:正常4.8-105mg/dl)の血液所見を認めます。4)リンパ球や形質細胞浸潤・IgG4陽性形質細胞浸潤、花むしろ様線維化などの病理所見を認めます。5)良好なステロイド反応性が認められますが、ステロイド減量・中止により再燃が高率に生じます。
症状
障害される臓器によって、症状は異なりますが、頻度の多いものとして下記のものが挙げられます。1) 膵炎・胆管炎に伴う閉塞性黄疸、上腹部不快感・腹痛、食欲不振2) 膵炎・唾液腺炎・下垂体炎に伴う口渇3) 涙腺・唾液腺腫脹4) 水腎症・下肢の浮腫・背部痛:後腹膜線維化では、下大静脈の圧排により、下肢の浮腫が認められます。5) 間質性肺炎による咳、息切れ6) 前立腺炎に伴う排尿障害7) 尿細管間質性腎炎に伴う腎機能障害
治療
初期プレドニゾロン投与量単一臓器の場合 0.6mg/kg/day膵炎など全身性疾患の場合 1mg/kg/day自然消退例もありますが、プレドニゾロン減量に伴う再発例も認められます。リツキシマブやシクロフォスファミド静注療法の有効性が報告されています。
今回、発表された札幌医科大学免疫リウマチ内科学の高橋裕樹先生の論文を引用させていただきます。
発症年齢は55%以上が60歳以上でした。
PETやCTで検索した結果、涙腺・唾液腺以外の臓器病変を伴う患者の割合は61.4%でした。
涙腺・唾液腺以外の臓器病変を伴う患者(with OOI)は伴わない患者(without OOI)に比べ、IgG4値が有意に高値でした。
患者の半数は7年以内に再発を認めました。
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