かぜ
最近聴講した感染症に関する講演会や最近読んだ”かぜ”の関する本についてまとめてみました。
急性気道感染症への抗菌薬処方見直しを
米疾病対策センター(CDC)と米国内科学会(ACP)は合同で成人急性気道感染感染症患者に対する抗菌薬の適正使用に関する臨床ガイドラインを策定し公表し(Ann Intern Med 2016年1月19日オンライン版)、急性気管支炎やかぜ症候群に対する抗菌薬投与を控えるよう強く呼びかけました。
急性気管支炎
急性気管支炎の9割以上はウイルス性であり、肺炎を認めない限り抗菌薬の処方は推奨されていません。急性気管支炎では発熱は見られず、発熱があれば、インフルエンザか肺炎を疑う必要があります。急性気管支炎では50%で膿性喀痰が認められますが、これは、気管や気管支からはがれた細胞や炎症細胞が混合したもので、必ずしも、細菌感染症というわけではありません。
咽頭炎
症例の大半がウイルス性で非ウイルス性は5-15%と考えらます。ただし、A群β溶血性連鎖球菌による咽頭炎には十分な注意が必要です。発熱の持続、前頸部リンパ節の腫脹、滲出性の扁桃炎(白苔)、咳がないの4項目中2項目以上が認められた場合には、咽頭拭い液による迅速抗原検査を実施し、A群β溶血性連鎖球菌が検出された場合には、抗菌薬投与を行います。連鎖球菌性咽頭炎以外のケースでは抗菌薬投与の必要はありません。
急性鼻副鼻腔炎
ウイルス、アレルギ-、刺激性物質によるものが大半を占め、細菌性は0.5-2%に過ぎません。ただし、症状が10日を超えて持続している場合、39℃以上の発熱や顔面痛などの重度症状が3日以上にわたって生じている場合、あるいはウイルス感染症に典型的な症状が5日間続き、いったん改善した後に再び症状の悪化が認められる場合(double sickening)には抗菌薬投与を検討してよいとされています。
かぜ症候群
全症例がウイルス性であることから、抗菌薬投与によるベネフィットは皆無であり、決して投与してはならないとされています。